JOURNAL

グラスフェッドミルクで作ったプリン。

グラスフェッドという言葉を知っているだろうか。グラス (grass) は草、フェッド (fed) は餌、つまり、草だけを食べて育った牛のことを指す。穀物 (grain) を食べて育った牛のことはグレインフェッドと呼ぶ。最近、欧米では、グラスフェッドの牛肉やミルク、バターを選ぶ人が増えている。その理由の一つは、健康や美味しさ。グラスフェッドで育った牛は、 赤味が濃く、風味が豊か、脂にオメガ3脂肪酸を 豊富に含み、健康にいいと言われる。またアニマ ルウェルフェア ( 動物愛護 ) の観点からもグラスフェッドは支持されている。できる限りストレス をかけないで家畜を育て、その結果として安心で 美味しい肉やミルクやバターを手にしていこうと いう考え方。ヨーロッパではすでに法律として制 度化されている。

日本にもグラスフェッドに取り組む酪農場がある。エブリシングサラダの人気デザート、ミルクプリンのミルクを生産している「なかほら牧場」だ。岩手県北上山系の標高 700~800 メートルの窪地 にあり、山の植生を活用した山地 ( やまち ) 酪農という農法 で牛を育てているという。草食の牛をちゃんと草で育て、広い山に一年じゅう昼も夜も放牧し、食事も睡眠も交配も哺育も全部牛任せ。ストレスとは無縁の放牧環境をつくり出していると聞く。岩手県に行く機会があったら、実際に訪れてみ たいが、山の斜面を登るのはきつそうだ。

自然の中で育てるというと、餌代がかからなく、作業も簡単と考えるかもしれないが。まったく の逆である。穀物を食べさせた方が早く太って 大きくなる。「なかほら牧場」は、穀物飼料を一切与えず、自然の草木を食べさせ、山が雪に覆われる7ヶ月間は、1日1頭あたり約900円もする国産の無農薬の牧草だけを与えている。今、現在は、結果として、とてもコストのかかる高価なミルクだが、「なかほら牧場」のミルクには、自然がもたらす美味しさにくわえ、牛と大地と人間との幸せな未来があるので はないだろうか。ミルクプリンを味わいながら、10 年、20 年後、地球上の多くの牧場がグラスフェッド、アニマルウェルフェアになっている姿を想像してはどうだろう。